2008年11月21日

小説・父親の役目

14
 美代子は、勇作のことを憐れに思う気持はあっても、家族の悲しみとしては感じていなかった。勇作とも、元々それほどの絆はなかったのである。
 彼の闘病生活に、かかわりたくなかった。それは夫、秀男に対する腹いせでもある。秀男が、夫としてあたりまえに自分に接してくれていたら、もう少しましな嫁でいられるだろう。こんな女にしたのは、全て秀男のせいだと美代子は思っていた。
 秀男もそのことはわきまえていた。美代子には、何も頼るつもりはなかった。
 秀男はもはや美代子を少しも愛してはいなかった。頭の中には常に離婚という2文字があった。
 ただ子供たちを愛していた。子供たちが美代子を慕っていることも分かっていた。
 秀男は子供たちのことを考えると、どうしても離婚に踏み切れずにいた。15へ

(上記小説は、カテゴリー{短編小説・つぶらなひとみ}の中の、小説・父親の役目で連載中)

posted by hidamari at 23:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説・つぶらなひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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