2008年12月17日

小説・父親の役目

22
 小百合は春には中学生になる。両親の仲が常々悪いことは知っていた。そしてそれは一方的に父親が悪いと思っていた。
 賢も春には5年生になるが、男の子は女の子に比べてあどけなかった。両親がよく喧嘩するのは分かっていたが、どちらに非があるかなど考えたことはなかった。ただ、ママが好きなことはもちろんだが、パパも大好きだったのだ。両親がよく喧嘩することに不安と恐怖は常にあった。でも、どこの家も同じようなことがあっているのだろうと思っていた。
 そこに、急にパパとママのどちらかを選べと言われたのである。
賢には事態を掴むことさえ出来るはずがなかった。
 もし、事態を理解したとしても、子供の賢に選べるはずがなかった。
 ところが、お姉ちゃんは、パパに向かって、どうどうと反抗している。それどころか、パパに意見をしている。
賢は、「お姉ちゃんはすごい、お姉ちゃんの言う通りにしよう」と思った。
 ただそれでも、「これから先僕たちはきっと不幸になるに違いない」という漠然とした思いが、賢の心を波立たせ、なぜかことばは出ず、目から涙ばかり溢れてきた。23へ

(上記小説は、カテゴリー{短編小説・つぶらなひとみ}の中の、小説・父親の役目で連載中)

posted by hidamari at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説・つぶらなひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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