2008年12月25日

小説・父親の役目

25
 それ以来、秀男と美代子は冷たい夫婦関係のまま、小百合と賢の親としてのみ、かろうじて家族の形を保っていた。
 織江にはパイプカットをしていることは言ってない。ただ、賢が20歳になったら、必ず離婚して織江と結婚することは約束していた。
 子供たちはすくすくと育っていったといっていいだろう。本当のところは分からないが、ただ、自分たちのために両親が離婚を止まっていることに、複雑な思いを持っていることは確かだった。
 小百合は私大の教育学部を出て、来春から高校の英語教師になる。
 賢は熊本大学薬学部2年生である。20歳になる。
 約束の年齢に達した。
 これ以上美代子と結婚生活を続けている意味がなかった。
 既に、賢が高校を卒業して大学に進学した時から、夫婦2人が取り残された。その時から、徐々に別居生活が始まっていた。秀男は殆んど織江と生活を共にしていた。
 秀男は織江に申訳ない気持ちがいっぱいだった。入籍という形式こそが、織江にしてやれる最高のプレゼントだった。26へ

(上記小説は、カテゴリー{短編小説・つぶらなひとみ}の中の、小説・父親の役目で連載中)

posted by hidamari at 23:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説・つぶらなひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック