2010年06月09日

ミニミニ小説・牡丹

牡丹bQ
 アサミは編集の仕事が楽しくてしようがなかった。
 あらゆる資料や図版を系統毎、年代毎、国別等、細部に渡って区分し、整理していく作業はたいへんだったが、1つずつ繋げて完成させていく達成感があった。
 時間さえあれば必ず成し遂げられるのが、何より快感だった。
 区分を終えると次に、城ノ内の文章による原稿に合わせて、貼り合わせていく。
 これは、マイホームを設計する時のあのワクワク感に似ていて、資料区分けよりさらに楽しい作業だった。
 作業は常に4〜5人の人間が交替でやってきて手分けしてやっている。
 アサミだけは、城ノ内研究室専任の助手であるから、勤務時間の殆どをこの編集作業に費やした。
 仲間とは、相談もし合うが、アサミにとって、彼らはライバルでもあった。
 なぜなら、資料の貼り付けは、各自のアイディアを駆使しなければ出来る仕事ではなかった。
 出来たものを最後に城ノ内がチェックする時、その成果が試される。
 アサミは城ノ内の意に沿うものを作りたかった。
 褒めてもらいたかった。
 何より、城ノ内の役にたちたかった。bRへ

(カテゴリー〈短編小説・つぶらなひとみ〉に連載中)

posted by hidamari at 23:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説・つぶらなひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック