2010年08月08日

夢小説・子取り鬼

bQ
 幸い家には誰もいませんでした。
 私は、玄関から表へ出て道路を渡り小学校のグランドに侵入しました。
 さすがにグランドの中央を横切るのは、はばかられました。
 トラックの外側に沿って、そっと歩いて行きました。
 体育館の入り口は、開いたままになっていましたので、これ幸いと足音を忍ばせ身を屈めて中に入っていきました。
 そこでは低学年らしきクラスの体育の授業が行われていました。
 先生は若くてハンサムで、しかもとても優しそうな男性でした。
 私は引かれるように、それでも見つからないよう窓際の壁に沿って進んでいき、先生がよく見える位置で座りました。
 「さあー、行くぞー」と先生は大声を出しました。
 生徒たちは数珠つなぎに腰を掴んで並び、最前の生徒が手を広げてガードするかっこうをしました。
 そうです。先生が鬼、最前の子供が親役、子取り鬼のゲームが始まったのです。
 「ウワォー」と言いながら、先生は最後尾の生徒を追いかけます。
 親役の生徒が「ダメダー」と言いながら、阻止します。
 生徒たちは、キャーキャー言いながら逃げ回るのです。
 先生は怖い顔を作っていますが、なぜか慈愛に満ちた顔に見えました。
 小さな生徒が最後尾にきた時、先生はすぐ捕まえられるのに、なかなか捕まえませんでした。
 どの子も、みんな楽しそうでした。
 私はふっと思いました。
 いくら窓際でひっそりしているとはいえ、誰も私の存在に気付かないなんてあるのでしょうか。
 私は、キャーキャー騒ぐ実態が分かったので、もう満足でした。
 見つかって追い出されることも覚悟していたのです。bRへ

(カテゴリー〈夢小説〉に連載)


posted by hidamari at 13:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 夢小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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