2010年09月20日

ミニミニ小説・牡丹

bP2
 城ノ内は、空港に迎えにきた男性事務職員アルベールと、新たに女性事務職員エルザを伴ってやってきた。
 そして、この2人にはこれから何かとお世話になると、アサミに紹介した。
 エルザは25歳、若くて美人だった。
 それにファッションセンスが素晴らしく、さすがパリジェンヌという感じだった。
 それなのに、ちっとも気どったところはなく、とても気さくだった。
 しかも英語も多少話せた。
 「お友達になってね」と向こうから言われた。
 エルザは、アサミより7歳くらいで年下だったが、アサミにとっては畏敬と憧れの存在でしかなかった。
 レストランはシャンゼリゼ通りにあった。
 予約が入れてあったのか、テーブルがセットされていた。
 前菜、スープ、メイン、パン、デザートが順序よく運ばれてきた。
 その間、ソムリエが赤ワインをコップに注いでくれた。
 日本のコース料理と同じなんだとアサミは妙に感動した。だが、内容は全く違っていた。
 前菜がフォアグラ料理だったり、ヘーゼルナッツのスープだったり、メインの仔牛ステーキの柔らかさ、またデザートがチョコレートカスタードのパイとアイス、と、それらはシャレていて想像以上に美味しいものだった。
 城ノ内が、後で教えてくれたのは、高級なレストランなのにあれでも500ユーロくらいで、そんなに高いことはないということだった。
 ただ、観光で来てもなかなかこんなに安くて美味しい料理にはありつけないだろう、と言った。
 「今日は彼らが歓迎の意で招待してくれたが、明日からはもっと庶民的なレストランを探すか、そうでなければ、スーパーでお総菜を買ってホテル内で食べる方法もあるから」と言った。
 その夜は、ディナーを済ませた後アルベールとエルザはそのまま車で自宅へ帰り、城ノ内とアサミは、シャンゼリゼ通りをブラブラ歩きながらホテルまで戻った。
 アサミは、今私は次元が違う世界に居る、それならそれでしっかりこの世界を体験しようと、思った。
 不安もあったが、ウキウキする方が強かった。bP3へ
 (カテゴリー〈短編小説・つぶらなひとみ〉に連載)

posted by hidamari at 22:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説・つぶらなひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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