その小さな路地は、道路にある街灯からはちょうど死角に当たり、真っ暗だった。
しかしいったんそこに入ると、ずっと奥の方に背の高い洋館建てのお家があるのが、くっきりと浮かんで見えた。
なぜ見えたかというと、その家の外灯が明々と点いていたからだ。
驚いたことに、その明りに誘われて、ソロリソロリと歩いて向かっていたのは私だけではなかった。
気が付くと、どこから来たのか、この街にこれほどたくさん猫がいたのかと思うほど、たくさんの猫が、集まってきていた。
私はあの家できっと何かがあるのだと思った。
「いったい何事ですか?あそこで何かあるのですか?」と、私の横を歩いていたお兄さん風の猫に聞いてみた。
「おや、君は新入りかい?行けば分かるよ」と言い残すと、私を追い抜いていった。
行くしかないと思った私は、彼に追いついて後ろを付いていったのだ。
その家は教会のように大きかったが、片ドアだけの小さな玄関は開け放たれていた。
入ってびっくりした。
3メートルほどの廊下を通り抜けると、ワンフロアが広がっていて、周りは教会のようなステンドグラスに囲まれていた。
ここは教会なの?と一瞬思ったが、キリスト像もマリア像もなかった。
ステンドグラスの壁際に長椅子が並んでいるだけだった。
前の方が1段高くなっていて、そこに貫録のあるオス猫と、優しそうなお姉さん猫が鎮座していた。
集まった猫たちは中央の板の間に次々と席を取っていった。
私はさっきから後をつけていたお兄さんの横に座った。
「ここはいったい何なのですか?今から何が始まるのですか?」と再び尋ねてみた。
「ここは猫の夜間学校だよ」
「えっ?学校?そんなものあるのですか?」
「知らなかったの?」
「わたしも入れる?」
「勉強したい者は、誰でも入れるよ」
私は、今まで1人ぼっちだったから、何も知らなかったのだと思った。
こんなにきれいな所で勉強出来るなんて夢のようだった。
あたりを見回すと、どの顔もイキイキしていて輝いていた。
ワクワクする気持ちを抑えながら、私は今から何が始まるのか、興味津津だった。bSへ
(カテゴリー夢小説で連載)
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