昼間のその路地は、どこにでもある薄暗くて湿気の多い辛気臭い通りだった。
今まで私が見向きもしなかったはずだ。
しかし、今日は違った。
いったい昼間の学校はどんなたたずまいをしているのか、見てみたかった。
ずんずん進んでいくと、汚いブロック塀に突き当たった。
よく見ると、横の方に錆びた柵の扉が半開きなっていた。
おそるおそる中に入った。
あちこちにペンペン草が生えているだけの、ただの空き地だった。
以前にはきっと家が建っていたのだろう、セメントが覗いている箇所もあった。
昨夜確かに、広間でダンスをした洋館は、影も形もなかった。
これはどういうことだと不思議に思ったが、次第に私の頭の中で、事態が消化されていった。
夜になると、また昨晩のようにちゃんと学校の建物が現れ、講義を聞き、舞踏会が催されることは間違いなかった。私にはそうなる確信があった。
了
(カテゴリー夢小説・猫学校)
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