2011年01月30日

ミニミニ小説・牡丹

bQ0
 忙しさに紛れて、アサミも徐々に城ノ内のことを意識しないようになっていた。
 とはいえ、1日でもアサミの視界に城ノ内の姿が入らなければ、何か落し物をしているような不安があるのも否めなかった。
 そんなある朝、アサミはふと、不思議な身体の変調を感じた。
 いつも通り、自宅の洗面所で歯磨きをしていた。
 歯ブラシを長いこと口の中に入れておくことが出来ないのだ。
 ムカムカする。
 我慢して歯磨きを続けるとむせてしまったのだ。
 ずっと以前はこんなことはなかったのに、考えてみれば、最近ずっとこうだ。
 仕事が忙しいから身体が悲鳴を上げているのだろうか。
 胃が悪いのだろうか。
 盲腸でも初期はムカムカすると聞いたこともあった。
 最後に、ひょっとしたらつわり!ということを考えた。
 そういえば、月のものが遅れていた。
 そのことは自覚していたが、初めて城ノ内と関係を持ったことで、子宮も驚いて変調をきたすこともあるだろう、と考えていた。
 ものの本にもそんなことが書いてあったような気がしたからだ。
 たった1度の経験でそんなことになるはずがないと、高をくくっていたこともあった。
 しかし、その日、アサミは「もしかしたら」という考えにさいなまされたのである。
 これは、確かめるしかない、妊娠判定試薬なるものを使ってみようと、アサミは泣きたい気持ちで決心したのである。bQ1へ
(カテゴリー〈短編小説・つぶらなひとみ〉に連載)

posted by hidamari at 21:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説・つぶらなひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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