2011年06月23日

ミニミニ小説・牡丹 bR3

 目が覚めたのは翌日の朝だった。
 母親のミナが、起きてこないアサミを起こしにきたのだ。
 「どうしたの?具合でも悪い?」
 ミナは昨夜、アサミより帰りが遅かった。いつもは居間で待っていてくれるはずのアサミの姿がなかった。もう寝たのかと部屋を覘くと、ベッドの中で早くもいびきをかいていた。疲れているのだと、ミナはそのままそーっとしておいた。
 それが、朝になっても起きてこないので、さすがに心配になったのである。
 アサミは、「昨日忙しかったから」と言いながら腕時計を見た。そういえば、時計も外していなかったのだ。「もうこんな時間?シャワーを浴びてすぐ大学へ行く。あと1週間で産休だから頑張る」と、母のミナに言いながら、自分にも言い聞かせていた。
 そして、気合いを入れて起き上がろうとした。が、下半身に違和感がある。どうしても立つことが出来ないのだ。下腹が圧迫され、足の付け根も痛い。
 ミナがあわてて肩を貸してくれた。何とか立ち上がり、お手洗いにたどりついた。
 さっきから肌に触れるショーツにも違和感があった。恐るおそる確認すると、やはりうっすらと出血していた。
 これは病院へ行くしかないと思った。
 ミナが付き添うと言ってくれた。アサミは「大丈夫、何かあったら電話するから」と断った。
 それから、大学に休むことを電話し、タクシーを呼び病院へ行った。
 これから先、ミナには何かと世話をかける予感がしていた。
 出来ることは、なるだけ1人でしようとアサミは考えていたのだ。bR4へ

(カテゴリー〈短編小説・つぶらなひとみ〉に連載)

posted by hidamari at 23:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説・つぶらなひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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