2011年07月03日

映画の感想(にごりえ)

 1953年 日本(松竹)映画 今村正監督
 原作 樋口一葉の短編小説 十三夜・大つごもり・にごりえ

 ・十三夜  丹阿弥谷津子 芥川比呂志
 ・大つごもり  久我美子 長岡輝子
 ・にごりえ  淡島千景 宮口精二

  樋口一葉の代表小説「たけくらべ」は、もちろん読んでいるので内容もよく覚えているが、その他の小説は全く覚えていないので、読んでいないのかもしれない。
 今回日記形式で、3小説を、オムニバス映画に仕立ててあった。
 モノクロ映画でかなり古いものだが、むしろ私には新鮮であった。特に十三夜は月夜の戸外が背景だったが墨絵のように美しかった。明治時代の東京はこんなに情緒があったのかと驚かされた。
 そんな中で、嫁にやった娘を思う親心にふれた。それは概ね今の親と大差ない。違うのは娘。今の女性は夫に浮気されたり、実家を下げずまれたりすると、我慢などしないし、親のいうことはきかないだろう。
 でも、この年になって分かることかもしれないが、明治時代の我慢する女性が、今の女性よりうんと賢かったし、最終的には幸せを勝ち取るのではないかと思っている。
 樋口一葉は若干23〜4歳、作品を通して思うことは、すごく老練な人間観察がしてあるということだった。
 大つごもり、にごりえ、はサスペンスの要素も少々あって、物語としてとても面白かった。 
 主人公の峰が奉公先の金入れ引きだしから2円盗む。
 それがばれるまでのドキドキ感が小説を面白くしている。
 にごりえのラストシーン。主人公の売れっ子酌婦と落ちぶれた妻子持ち男の心中。事件性のある無理心中を思わせるものの、翌日は何事もなかったような町の営みが行われている不思議。
 有名作家の文学作品の映画化。小説を崩すことなく、それでいて映像の良さも出ていて、とても見応えのある映画だった。

posted by hidamari at 23:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 読後感・映画の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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