2011年07月13日

映画の感想 (フェイシズ)

  1968年 アメリカ映画  監督 ジョン・カサヴェテス  主演 ジョン・マーレイ リン・カーリン ジーナ・ローランズ シーモア・カッセル

 古いモノクロ映画だった。
 いきなり酔っ払いたちの馬鹿笑いと延々と続く意味のない会話で始まる。
 掴みきれない展開が間どろこしくて、早送りする。
 作者はこのおしゃべりと馬鹿笑いに意味を持たせているのだろう。人生には時には羽目を外してはしゃぐことが必要なのだろうか。
 この映画は、倦怠期の中年夫婦が夫々登った2つの山が、いかなる怪しげなものだったとしても、それは避けては通れなかったのだという、人間の業の弱さと切なさを教えてくれた。
 しかし、それを乗り越えた時、お互いが見えてくるのではなかろうか。

 どんなに愛し合って結婚した2人でも、子供もなく14年もたてばお互い空気のような存在になる。
 でも、常にどこか満たされず、お互いイライラしてしまうものだ。
 夫はある夜、親友と高級娼婦の館に遊びに行き、その美しい娼婦と意気投合してしまう。
 ひとまずは館から自宅へ帰るが、妻の緊張感のない態度に、突然切れてしまう。むろん頭の中には娼婦のジェニーのことがあったから。
 夫は妻に一方的に離婚を言い渡し、再び館を訪問した。そして1夜を共にする。
 その時残された妻がとった行動が、好ましくないとはいえ、とても人間的だった。
 同じように満たされない女友人3人と、夜の盛り場に繰り出したのである。
 そこで出会ったダンスがうまい若い男性を、自宅に持ち帰る。
 そして、友人たちが引きあげた後、妻は何の抵抗もなくその若い男性と1夜を共にした
 女性だってタガを外せば恐い物はない。
 夫の突然の裏切りに、今まで考えたこともなかったであろう行動に、妻は走ったのである。
 しかし、夫も妻も、所詮それらは不毛のセックスだった。
 そこに残ったものは、空しさだけだった。

 その後の処理が男女では違った。
 翌朝、夫は妻への愛を再確認するべく、うきうきと帰宅するが、妻は自殺を図る。
 男のお気楽さ身勝手さ、女の心のキビ、を感じた次第である。
 14年間の夫婦生活を、たった36時間の出来事で崩壊させてはいけないし、しかし、この36時間があったからこそ、2人はこれからの生活を再構築することが可能なのだと思った。
 実は、妻は命は取り留めたが、ラストがどうなったか画面には出てこない。
 ただ、私はそう信じて疑わない。
 ちなみに、タイトル「フェイシズ」は、1人の人間の複数の顔、ということらしい。

posted by hidamari at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 読後感・映画の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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