2011年10月18日

ミニミニ小説・ステテコ bQ

 6時30分頃から降り出したゲリラ豪雨は、その名の通り空から襲ってくる戦闘機の大群のような迫力だった。
 窓の外は、いつもの景色ではなかった。ただただグレー一色だった。不思議なことに雨が降り出す前よりあたりはパアーッと明るかった。
 みどりは、さっきからかけている夫の携帯が繋がらないことが心配だった。
 この雨では、たとえJRで福岡から長崎駅に着いたとしても、自宅までの足が確保できないだろうなあ、と思った。
 玄関ドアを開けて、廊下に出て外の様子を手摺越しに見ると、そこは驚くべき世界だった。
 20メートルくらい向こう側を流れる川が、正に氾濫しようとしているではないか。
 もうこれはただごとではなかった。
 大災害が起こる前兆だった。
 みどりは、電気もガスも水道も電話も、今に止まると思った。
 急ぎ部屋へ戻り、まっしぐらに固定電話の前へ行った。
 夫が、今度の出張は後輩の山田君と一緒だ、と言っていたのを思い出したからだ。
 住所録から山田君の自宅の電話番号はすぐ分かった。
 彼の家に電話すれば、何かの情報が得られる気がしたのだ。
 「ハイ、山田です」
 電話に出たのは山田君本人だった。
 みどりは、一瞬耳を疑った。
 まさか、山田君が既に家に帰っているとは、夢にも思わなかったからだ。bRへ
 
(カテゴリー〈短編小説・つぶらなひとみ〉に連載)

posted by hidamari at 21:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説・つぶらなひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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