2015年01月27日

映画“1枚のはがき”

 2011年 日本映画
 新藤兼人監督  キャスト 豊川悦司 大竹しのぶ

 テレビで広告画面を見ていたせいか、見た映画のような気がしてならなかった。ただ、劇場で観た記憶がないのはやはり観ていないと思い、今回録画した次第である。で、やはり観ていなかった。
 
 99歳新藤兼人監督の遺作である。
 彼の奥様は故音羽信子さん、彼女が最後に出演した映画、“午後の遺言状”が新藤監督最後の作品になると思っていたら、その後も何本か力作を撮っておられることに驚き。
 でも彼が、本当に遺言としたかったのは、戦争体験者として、戦争の悲惨さ、理不尽さを、後世に伝えることだったのではなかろうか。
 戦争に翻弄された庶民の苦闘と諦め。
 そこには泥沼のような光のない生活しかなかった。
 主人公大竹しのぶ演じる友子は、戦争で次々に家族を失くしてしまい、もはや自身が死ぬことしか残されていなかった。
 そこへこれまた戦争により人生を狂わされた生き残り中年兵士、豊川悦司演じる裕太が、友子の戦死した夫から託された1枚のハガキを持って現れる。
 そこで奇蹟が起こる。傷ついた者同しが心を通わせ、人間らしさを取り戻すのである。
 2人は素直気持ちで再生の道を歩き始めた。
 この映画は戦争映画ではない。
 戦場での画面は私の記憶にはない。
 いわゆる戦争にまつわる人間ドラマである。
 私が小さい頃は、まだまだ戦後の混乱期だった。
 身の周りにも、この映画のようなケースはいくらでもあった。
 現に義兄は両親が再婚して生まれた長男である。母親は父親の戦死した兄の妻だった。義兄は長男だが、戦死した兄の子供、いわゆるお兄ちゃんも既にいたのである。
 こんな話しはたくさんあった。
 また、裕太のような妻と父親が再婚していたというケースは稀だろうが、妻が友人と再婚していたり、見ず知らずの人と再婚していたりするケースはよく聞く話しだった。
 戦争さえなければ、何もこんなむごいことはあり得なかっただろう。
 ただこの映画はハッピーエンドに終わった。
 新藤兼人監督の優しさだろう。それが救いだった。 
posted by hidamari at 22:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 読後感・映画の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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