2015年03月12日

読後感“火花”

 又吉直樹 文学界2月号 文藝春秋

 又吉直樹さんはテレビでよく見る芸人さんである。
 彼は、芸人でありながら、どこか控えめで、内気で、私には、とうてい芸人には向かない性格に見えていた。ただ、服装、身なりは独特で、実は目立ちたがり屋な面もあるので、やはり芸人が好きなのかもしれないと、思ったりもしていた。
 今回、初めて彼の小説を読んだ。
 そして彼は、今は芸人が好きで職業としているが、実はあまり自分には芸人が向いていないと感じているのかもしれないと、思ったことだった。
 この小説のタイトル「火花」は、どこからきているのか。
 でだしが花火大会から始まっている。てっきりタイトルは「花火」と勘違いしていた私。
 ふつうは「花火」にするだろう。
 そこからして、彼は素人離れしていると思った。
 物語にドラマ性はない。フィクションかノンフィクションかといえば、自身の体験や複数のモデルがあるものの、きっとフィクションなのだろう。
 芸人のマニアックな世界の、ある期間の日常を描いたものだった。
 だから私は、話しの内容にあまり興味はなかった。
 決して万人受けする内容ではない。
 ただ、文章の書き方が熟練されていた。もはやプロだった。
 文章は人なり、というが、まさにこの小説は、又吉さんの人間性が顕著だった。
 優しさ、常識、謙虚さが滲み出ていたような…。
 たけしさんの映画も、普段の彼からは伺い知れぬ彼の豊かな人間性が随所に垣間見られる。
 だから、本を読みながら、たけしさんと同じように才能がある人と思った。
 この「火花」を読んで、率直に思ったことは、小説というものも、結局作家の人柄の善し悪しで、作品も良し悪しが決まるのだなあ、ということだった。もちろん、自分の考えを書き切る筆力があってのことだが。
posted by hidamari at 22:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 読後感・映画の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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