2016年01月06日

映画の感想“母と暮らせば”

 2015年12月 日本(松竹)映画
 監督 山田洋次  製作 井上麻矢
 キャスト 吉永小百合 二宮和也 黒木華

 一種、鳴り物入り的な感じで作られた映画だった。というのは、井上ひさしが晩年構想していたもので、被爆地広島を舞台にした「父と暮らせば」に対峙させて、被爆地長崎を舞台にした母と息子の物語だったから。
 井上ひさしの意志を受け継いで山田監督が脚本を書き、メガホンを持った。
 さて、感想だが、正直反戦映画の感じはしなかった。
 単純に、母息子の愛情物語というところか。 
 
 ただ、原爆投下の一瞬で、人生が突然にジ・エンドになった現実。しかも彼らには何の落ち度も、しかも前触れもなく。こんな理不尽なことが起こるのが戦争なのだと知らされる。
 主人公福原伸子の一人息子、医学生浩二はその日突然この世から姿を消した。
 現実を受け入れながらも、諦め切れない伸子は、幻で浩二と暮らすようになる。いわゆるファンタジーの世界である。
 最初の頃、これがばかばかしく眠ってしまった。
 そのうちに、リアルな生活が描かれる。
 浩二には、伸子も認めたかわいい婚約者(町子)がいた。
 彼女は生身の人間、浩二を思いながらも新しいパートナーを考えるようになる。しかし伸子に義理だてしてなかなか前に進めない。
 伸子は彼女の気持ちを察して、彼女が幸せを掴むことを納得し後押しする。
 しかし、それは本心ではない。彼女の幸せを喜ぶことはできない。嫉妬しながら生き長らえることが出来るだろうか。
 幻の世界へと逃げるしかない。
 最後は愛する息子と連れだってファンタジーの世界へ。
 切ないけど、私もこれが1番いい方法だと思った。一種のハッピーエンドだったような。
 この映画を観てすぐに思ったことは、「人間、生きてるだけで丸もうけ」ということば。
 町子の新しいお婿さんは、戦争で片足を失くしたものの生き残った。で、幸せを掴むことができた。
 町子共々まさに「生きてるだけで丸もうけ」だった。
 一方伸子は「生きてても何の意味がない」のではないか。
 生きてても何の意味がないなら、早く幻の世界へ行くべし、と思わざるをえない。
 間違っているかなあ。
 最後に、これが大作だとは思えなかったが、町子役の黒木華さんは、自然な演技が際立っていた。小百合さん、長崎弁、長崎人が聞くとやはり不自然だったかな。
posted by hidamari at 22:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 読後感・映画の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック