2016年03月24日

読後感“異類婚姻譚”

 2016年1月  講談社発行
 本谷有希子著

 2016年1月第154回芥川賞受賞作品である。
 私が読後感としてすぐ思ったことは、芥川賞に相応しい作品だということ。
 まずこれが4編からなる短編集であること。
 内容が人間(夫)を、逆擬人化(比喩)にして表していること。
 人間の内面を描いていること。
 動物が頻繁に出ていること。
 以上のことは、古典の説話集「宇治拾遺物語」からなぞった、芥川の多くの短編作品にも似ていると思った。
 さて、内容だが「異類婚姻譚」「犬たち」「トモ子のバウムクーヘン」「藁の夫」の4篇。
 それぞれ独立して昨年発表されたもの。
 ただ、4編とも夫婦の機微(女性目線)、動物を擬人化して思いやったもの、である。
 著者はまだ36歳という若さなのに、夫婦に関する内面の葛藤がよく分かるなあと思った。よしんば分かるとしても、普通はこのことをなかなかことばに言い表せない。この手法の巧さに感心した。
 夫を藁に比喩するなんて、ほんとうに的を得たもので、目の前のもやがすっきりする快感だった。
 また、夫が、本当は山芍薬のように可愛い人だったんだと理解しながら、最後はやはり寒気がするほど気味悪がったりする女心は、ひょっとしたら誰にも覚えがあるのでは。
 何しろ、夫婦は他人、いくら顔が似てきても、分かりあえるはずはないのだから。
posted by hidamari at 15:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 読後感・映画の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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