2016年04月10日

読後感“天才”

 2016年1月  幻冬舎発行
 石原慎太郎著

 先頃テレビ番組金スマで、石原慎太郎氏が登場して、この本の内容を紹介した。
 MCの中居君が、気難しい石原氏にどれだけ食いつけるか、実はとても心配だった。
 ベテランの司会者であっても、石原氏の機嫌を損なわぬように切りこんだ質問をするのは、並大抵のことではなかろう。しかも石原氏は83歳という高齢、相当頑固になっていると思われる。
 案の定、石原氏は中居君と目を合わせようとしない。端から彼を相手にしていないことが見てとれた。中居君はあながち的外れな質問はしていなかった。にもかかわらず、石原氏は「貴方の言うことは分からないなあ」と、答えようとはしなかった。しかし、中居君は大人の対応をした。常に笑顔でめげずに聞きたいことはしっかりと聞いていた。きっと最後には、石原氏も中居君を認めたのではなかろうか。
 とても良い番組になったことは間違いない。
 さて、「天才」の感想だが、本を開いてすぐに目に入ったのは、活字の大きさと行間隔の広さだった。石原氏の本にしてはめずらしく、もしかして小説ではないのでは、と思ったほど。
 それが功を奏しているのか、読みやすく、すぐに内容に溶け込んでいけた。
 私はリアルタイムに、田中角栄さんの政治家としての歴史(栄光と転落)を、見てきた世代である。
 当時我々は、コンピューター付きブルドーザーの総理大臣が誕生したと、多いに期待した。私は、戦国時代の豊臣秀吉に似ていると思ったことだった。
 彼がたった2年余りで退任していたことはすっかり忘れていた。
 それはなぜかと考えると、退任後も闇将軍として政界に強い影響を及ぼしていたせいだろう、歴代のどの総理大臣より、私の中ではインパクトがある。
 また、この本の内容が事実なら、彼の人生の基礎は全て彼の生い立ちにあると思った。
 第1に彼が頭脳明晰であったこと。これは、六法全書を全て覚えるほどの記憶力、また先見の明があったこと等で証明される。第2は貧乏だったこと。これが金権政治に繋がったと思われる。彼は子供の頃既に、人はお金がないと人格まで否定されることを知った。第3は母親が愛情深く、見識者だったこと。彼の師は生涯で母親だけではなかったかとさえ私は思った。それは彼がとても人情家だったこと、家族をとても愛していたこと等でうかがえる。第4は身体が丈夫だったこと。このことは自ら身体を動かしブルドーザーの如く実行していったことでうかがえる。
 私が、今回この本で1番興味を持ったのは、彼のプライベートの人生だった。
 人間味あふれる生き方と言えば聞こえはいいが、あまりにも自由奔放で、相当古い考えの人だったのでは。家族は彼のやんちゃに振り回され、そうとう迷惑な人生だったのではと思われる。
 今安倍さんにこれほどのスキャンダルがあったら、どうなんだろう?
 確実に失脚するのでは。
 田中角栄は結局、金で権力を得、金で失脚した。
 5憶円の受託収賄罪は成立した。
 今ではよく聞く、秘書がやったことに間違いはなかった訳で。
 彼は、当時の参議選の費用として300億円もの金を調達した。その中の5億円だったという。
 有名なロッキード事件に端を発したものだった。
 田中角栄はそんな込み入ったお金だとは知らなかったようだ。
 お金が大事だと知りながら、最後お金を軽くみたことが命取りになったことは、皮肉だった。
 最後に思ったことは、どんなに偉かった人でも、長い年月が過ぎると、人は衰え過去の栄光さえ忘れてしまい、無になって、ついには消えてしまうという現実。
 いったい、田中角栄さんは、幸せな人生だったのだろうか。
 私が思うに、彼の人生はプラスマイナス0の人生だったのではと…
 ただ、日本国にとっては彼の功績は、マイナスも多いが、やはりプラスの方がだんぜん多かったような…
 素直に歴史に残る偉大な政治家だったと思ったのである。
posted by hidamari at 22:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 読後感・映画の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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